機動戦士ガンダム

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物語

スペースコロニーへの宇宙移民開始を紀元とした未来世界、宇宙世紀0079年が舞台である。月軌道の周辺にあるラグランジュ点に浮かぶスペースコロニー群(作中ではサイドと呼ばれる)に人類の半数が居住している。その中で地球に最も遠い、サイド3にあるジオン公国は宇宙移民であるスペースノイドの独立を求め、人型機動兵器モビルスーツの開発成功を機に、地球連邦に独立戦争を挑んでいた。

そんな中、サイド7に住む少年アムロ・レイは、連邦軍が開発した最新モビルスーツ「ガンダム」の調査のため侵入したジオン軍との戦闘に巻き込まれ、偶然が重なってガンダムのパイロットになってしまう。ガンダムの母艦である最新鋭戦艦ホワイトベースもまた正規乗組員のほとんどを失い、アムロをはじめこれに避難した少年少女たちが生き残りの乗組員達と協力しながら地球へ向けてサイド7を脱出する。

この物語は、アムロ達が宿敵シャア・アズナブルをはじめとする様々な人々との出会い、戦いそして別れを経て数々の困難を乗り越え、成長していく姿を描く。

機動戦士ガンダム

「フリーダム・ファイター」から「ガンダム」へ

ただし、当初の企画『フリーダム・ファイター』ではロボットを登場させるつもりはなかったという。『宇宙戦艦ヤマト』とジュール・ヴェルヌの『十五少年漂流記』にヒントを得て、宇宙戦艦に乗り込んだ少年少女が宇宙戦争の中で協力しながら生き延び成長するという点は『ガンダム』と共通している。この時点では主人公たちは宇宙戦闘機に乗り込み、異星人と戦うという設定であった。

しかしクローバーはあくまで巨大ロボットもの、それも「変形・合体」といったおもちゃとして楽しめる仕掛けを備えたものを要望した。企画に詰まったスタッフに相談を持ちかけられたSF作家でスタジオぬえの一員である高千穂遥は、ロバート・A・ハインラインのSF小説『宇宙の戦士』の一読を薦めた。これに登場する装甲強化服「パワードスーツ」を元に考案されたのが全高18mの「モビルスーツ」である。この時点での仮題は『ガンボーイ』であった。これがアメリカでトラック軍団を指す「コンボイ」と掛け合わせて『ガンボイ』に、さらにチャールズ・ブロンソンがテレビコマーシャルで流行語にした「う〜ん、マンダム」のイメージから『フリーダム』のダムとかけて『ガンダム』という名前が生み出された。

最終的に、主役機「ガンダム」は上半身と下半身の間に小型戦闘機を変形させて組み込むという形を採り、サポートメカとして登場する「宇宙の戦士」に登場するパワードスーツに着想を得たデザインの「ガンキャノン」と戦車風の「ガンタンク」もこのシステムを取り入れることとした。

これら3機はそれぞれ一機種一体[1]の試作機であるものの、「ザク」をはじめとしたジオン側のモビルスーツは多数の同形機が存在する量産兵器とされた。そしてモビルスーツは主役機と言えども一体で戦局が一変することはほとんどない。ザクに続く新型機として登場する「グフ」や「ドム」などや、ガンダムを元に量産された連邦軍の「ジム」もまた数多く登場する。一方、モビルスーツの存在意義に説得力を持たせるために、ミノフスキー粒子という架空の粒子が設定された。これはレーダーや電波誘導兵器を攪乱・無効化することでモビルスーツ同士の白兵戦に説得力を持たせるものである。アニメとしての制約の中でも無重力状態の描写などにも注意が払われ、細かい設定によって作品世界に奥行きと現実感が持てる作品となっている。こうしたリアリティを重視した設定から、『機動戦士ガンダム』はそれまでの巨大ロボットがヒーローとして扱われるスーパーロボット作品から一線を画す、リアルロボット路線の元祖とされる。

もうひとつ、『機動戦士ガンダム』において重要なキーワードが、「人類の革新『ニュータイプ』」である。超能力にも似た特別な感覚を得た人々として設定されたニュータイプは、当初は主人公アムロに超人的活躍をさせるためのアイデアであったが、やがて宿敵シャアもまたニュータイプであることが明かされ、そして同じくニュータイプである少女ララァ・スンとの出会い、そして三人の間で起こる悲劇を通じて、「人類の革新」とは何なのかと問いかけるに至っている。

機動戦士ガンダム

初回放映時の評価と後の社会現象

当時、現代劇やスペースオペラでならともかく、よもや巨大ロボットという荒唐無稽の代名詞のようなガジェットを用いて通り一遍な勧善懲悪ものではないシリアスな作劇が可能だとは全く予想もされていなかった。このような従来タイプのロボットアニメとのギャップのため、ターゲット層はこれを見ず、置いていかれた幼児はついてこれず、ガンダムは初回放送時の視聴率は名古屋地区で平均9.1%、関東地区で5.3%[2]と振るわなかった。その結果、従来通りの子供の視聴者をターゲットにした関連玩具の売上も伸びなかったことで、全52話の予定が43話に短縮され打ち切りとなった。

しかしその一方で、放送当時からアニメ雑誌がたびたび熱意ある特集記事を組んだり、終盤からハイティーンを中心に口コミで徐々に評判が高まり、後半の視聴率は、時間帯としては健闘したといえる。当時盛んだったアニメファンによる再放送要請嘆願署名が行われ、またアニメ誌が放送終了後もなお特集記事を組むなど熱意は衰えず、これらを受けて再放送、再々放送が重ねられ、世間一般へ「ガンダム」が浸透していった。再放送では平均視聴率も10%を超え、1982年における再放送では名古屋地区で25.7%(最高視聴率29.1%)を記録するなど、視聴率からもガンダム人気の上昇ぶりを伺うことが出来る。

また、放送終了後に商品化権を取得したバンダイから半年後に発売されたモビルスーツのプラモデルが、『ガンプラ』と呼ばれ、低年齢層も含めて爆発的な売れ行きを見せ、ガンダム人気を広げる一助となった。ガンプラは大変な人気を得たことで「モビルスーツバリエーション」と呼ばれる派生シリーズを産み、それらにおける種々の設定はアニメ雑誌において生み出された設定と合わせてガンダムの世界観をより深く掘り下げるものとなった。一方で『機動戦士ガンダム』の作中における描写や「ニュータイプ」の存在に対して、高千穂遙がSF考証の観点から批判する意見を述べ「ガンダムSF論争」を巻き起こした。

機動戦士ガンダム

劇場版三部作と「アニメ新世紀宣言」

テレビ版の再編集に新作カットを加え、ストーリー・設定を一部変更した劇場版の制作が発表されたのは1980年10月のことである。第1話から第13話までを再編した第一作の題名は数字等を付けず単に『機動戦士ガンダム』とされ1981年3月14日全国松竹系にて公開された。これに先立つ1981年2月22日、新宿にて「アニメ新世紀宣言」と呼ばれるイベントが開催され、1万5千人ともいわれる数多くの若者が詰めかけた。中にはシャアとララァなど登場人物の(今日で言う)コスプレをして現れた者達もいたほどである。彼らを前に富野は、これだけの若者がアニメ映画のイベントのために集まった事を通じて、アニメを低俗・俗悪と決めつける社会の認識を問う発言をおこなっている。

第一作の成功を受けて、『機動戦士ガンダムII 哀・戦士篇』(あいせんしへん)(第16〜31話前半を再編、1981年7月11日公開)、続けて『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙篇』(めぐりあいそらへん)(第31話後半〜第43話を再編、1982年3月13日公開)が公開された。またこれらの映画の主題歌がオリコンチャートの上位にランキングされる[4]など、様々な要素が組み合わさって大きな社会現象にまで発展した。

その後も本作と世界観や設定、歴史などを踏襲、あるいは共有する小説や漫画が数多く制作された、メディアミックスの先駆けともいえるアニメ作品でもある。後年、本作の7年後を舞台とするテレビアニメ作品『機動戦士Ζガンダム』を始め、その歴史に連なるアニメ作品、あるいは世界観をモチーフに「ガンダム」の名を冠したアニメ作品や、小説、漫画、コンピュータゲームなどが、様々なクリエイターの手によって制作された。

機動戦士ガンダム

アニメ史上の評価と後続作品への影響

機動戦士ガンダム』は複雑な人間模様を描き出したドラマ性が初回放送から四半世紀を経てなお高く評価される作品である。戦争賛美でもなければ安易な「反戦」でもない、独特の戦争観は「ガンダム世代」と呼ばれる当時の視聴者達の戦争観に少なくない影響を与えたともされる。

また『機動戦士ガンダム』のヒットは新たなアニメブームをもたらし、これに影響されたアニメも玉石混淆で無数に製作されることになる。特にロボットアニメは『機動戦士ガンダム』同様に、登場人物や世界観の描写に力を注ぐことで高年齢層を意識した作品作りがなされるようになり、後述するような数多くの作品を生み出した。ガンダムシリーズ自身は『機動戦士ガンダム』以来のファンを維持しつつ、新しい設定のガンダムが若いファンを獲得して親子二世代にわたって人気があるシリーズとなっている。

「アニメ新世紀宣言」に集まるなどしてガンダムブームを支えた視聴者達の中からは、数多くのクリエイターが生まれている。例えばそこでシャアとララァのコスプレをした二人も、後にメカニックデザイナー・永野護と声優・川村万梨阿として『機動戦士Ζガンダム』の制作に参加している。

「モビルスーツ」と「ミノフスキー粒子」という、有人ロボットに意義を持たせる設定はアニメファンや制作者に多大な衝撃を与えた。以降のロボットアニメにおいては、ロボットが人型をしている理由、それが車両や航空機などの従来兵器を凌ぐ理由、絵になるショートレンジ戦闘の起きる必然、なぜ主人公とその乗機が頭一つ(圧倒的ではいけない)抜きん出るかの理由などを設定する事が多くなった。そうして生まれた有人ロボットとして、「バトロイド・デストロイド(『超時空要塞マクロス』)」、「コンバットアーマー(『太陽の牙ダグラム』)」、「ラウンドバーニアン(『銀河漂流バイファム』)」「アーマードトルーパー(『装甲騎兵ボトムズ』)」、「レイバー(『機動警察パトレイバー』)」などが挙げられる。

モビルスーツ同様ロボットを主役といえども唯一無二の存在として描かないロボットアニメが出現した一方で、それ以前からの主役ロボットをヒーロー同様に描きロボットの格好良さと痛快さを売りにしたタイプのロボットアニメも、相応の論理性を取り入れながら発展している。やがてそれぞれの流れは、古今のロボットアニメのロボットが一堂に会するゲームソフト『スーパーロボット大戦』シリーズにおいて、「リアルロボット」「スーパーロボット」と呼ばれるようになった。

また等身大のロボットを描いた最初のテレビアニメ『鉄腕アトム』がロボット研究者の大きな目標になったように、モビルスーツもロボット研究者にとって大きな目標となっている。

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